コラム

Column
2023.12.16

M&A買い手の案件化スキーム

買い手側における案件化はおおよそ以下のステップがあります。
その後、マッチングに移ります。

⑴ 検討

買い手は、まずそもそもM&Aによる事業承継をするかどうかを検討します。
なぜM&Aにより事業承継をしたいのでしょうか。
目的・目標が不明確では手段(M&A/事業承継)もおろそかになり
結果、M&A業承継が失敗する原因となりますので、ここは慎重に検討します。


⑵ 相談

買い手は、まずM&A事業承継をするかどうかを検討したら
その検討が正しいかどうかを信頼できるM&Aアドバイザ-や
身近な専門家に相談しましょう。

⑶ 決定

専門等に相談したら、M&A/事業承継の実行を決めましょう。
そして、信頼のできるM&Aアドバイザ-等の専門家に
M&Aに関する依頼をします。


⑷ 買収候補のイメージの具体化

その後、買収候補を具体的にイメージして
どんな相手を買収したいかを絞り込みます。
M&Aによる事業承継の目的や予算、達成したい目標を明確にすることで
M&Aによる事業承継の成功可能性が圧倒的に高まります。

マッチングへ

上記が終了したのち、案件の仲介・選定に入ります。

検討する時の留意点
なぜM&Aによる事業承継をしたいのか
M&Aによる事業承継を通じて何を達成したいのかを検討しましょう。
自社は、M&A/事業承継を通じて何を得ることを目的としているのでしょうか。
またそれは、本当にM&A事業承継を通じてする必要があるのでしょうか。

M&Aによる販路・自社にない技術や特許、ブランドや商流を獲得するためでしょうか。
あるいは新規事業獲得、起業の手段のひとつとしてのM&Aなど、その目的は買い手ごとに様々です。
様々であるからこそ、自社にあったM&Aにより事業承継先を選定し
それを通じた目的を達成するためには、具体的な目的・目標の立案が不可欠です。
なんとなく流行っているからM&Aというのはやめましょう。
買い手は、M&Aによる事業承継のリスクを負うということも忘れないことです。
売り手は、なんとなくM&Aしたいから買いに来ましたという相手よりも
真剣に考えてくれている人に売りたいに決まっています。
売り手に選んでもらう意味でもしっかり検討ましょう。

相談する時の留意点
買い手は、まず自社でM&A/事業承継をするかの検討したら
その検討が正しいかどうかを信頼できるM&A仲介会社や
身近な専門家等に相談しましょう。
検討が間違っている場合や他の道もあるかもしれませんので
信頼できる第三者に確認をしてもらうことで
自社の設定したM&A事業承継を実施する目的が妥当かどうか
M&A事業承継でその目的が達成できるのかを確認してもらいましょう。

ポイントは
この時に信頼のできる相手に相談するべきです。
M&A仲介会社やFAは、案件が欲しいのでM&A/事業承継を
積極的に進めてくるでしょうし、士業などの顧問はM&Aを通じて
クライアントを失うリスクや、M&Aに詳しくないことで
不用意なアドバイスをして信用を下げたり訴訟になるリスクを回避するために
消極的な回答をすることが多々あります。
各々のポジショントークの可能性もある点をご留意ください。
(これは売り手も同様です)その意味で信頼できる相手方がベストです。

決定する時の留意点
専門家に相談し納得したら事業承継の実行を決めましょう。
そして、信頼のできるM&A仲介会社ややFAにM&Aに関する依頼をします。
信頼できる相手方であるのを前提としてここでのポイントは
M&A仲介会社やFAに依頼する際のコストをしっかりと確認することです。
想像よりも支払うコストが高い可能性がありますので
ちゃんと見積もりを出してもらいましょう。
特にM&A仲介会社やFAへの報酬は、一般的に「レーマン方式」と呼ばれる
「対価×%=報酬」で算出されます。
ここで、報酬の計算方式の確認と事前の理解、「対価」の定義が何なのかをしっかりと確認してください。
この「対価」の定義は、M&A仲介会社やFAによって様々です。
取引価格の場合もあれば、純資産+α、総資産等、会社によって全然違います。
最低料金も含めて具体的に何にいくらかかるのかを正確に把握して依頼しましょう。
そして仲介会社などは、M&A支援機関に登録している会社がおすすめです。
ここに登録している会社は、M&A支援機関に登録されているため
中小M&Aガイドラインに準拠しています。
中小M&Aガイドラインに準拠していれば、しっかりとM&A仲介などの報酬規程を
作っていますので事前にコストを把握することができます。
加えて、M&A支援機関に登録している会社であることが
補助金等の要件になっていますので、M&A支援機関に登録されている会社
を選ばない理由がありません。

次のポイントとして
買収スキーム(手法)を検討します。

株式譲渡なのか事業譲渡なのか、吸収合併や会社分割等
目的によっては現物出資や第三者割当増資などで対応することもできます。
スキームは様々ありますので、目的・資金・会計・税務・法務・労務などの
リスクリターンを加味しながら慎重に検討します。
そしてできれば簡単なものでいいので、M&Aによる事業承継後の
予算や事業計画を組みましょう。
予算や事業計画を立てることでより具体的な買収先をイメージできるとともに
ここで事業計画を立てておくと資金準備のために融資を受ける際に説明材料ともなります。

買収候補のイメージの具体化
その後、買収候補を具体的にイメージして、どんな相手を買収したいかを絞り込みます。

M&Aによる事業承継の目的や予算、M&A/事業承継を通して達成したい目標を明確にすることで
M&A/事業承継の成功可能性が圧倒的に高まります。
ポイントは、買収候補の業種・業態はもちろん、地域、売上/資産、人員規模、候補を買収することで得られるシナジー、技術、販路等々
⑴で検討した目的を達成できる会社を具体的にイメージします。
それをもとに「マッチング」で買収候補を探しますのでここの精度は大事です。
そして買収予算を立てましょう。
お金がないと基本的にM&A/事業承継はできませんので
会社の資金繰りなどを勘案し買収予算を立てます。
その予算をもとに買収を実行していきます。

ちなみみに買収資金については
資金が足りないからM&A/事業承継が絶対できないという訳ではありません。
無対価合併も認められていますし、買収相手の資産を担保にして借り入れたり
買収先がキャッシュフローを生み出すのであれば、そのキャッシュフローを
借入金の返済原資にすることもできます。

事前に各金融機関(特にメインバンク)にもM&A/事業承継の融資の相談をしてもいいでしょう。
融資限度額を把握したり、M&A/事業承継にともなう借入の相談も乗ってくれるはずです。

事後の評価と修正
M&Aの効果を確認するために、一定の期間ごとに事後の評価を行います。
達成した目標との比較や予算実績の確認などを通じて、戦略の修正や改善点の把握を行います。

法的・税務的な課題の解決
M&Aには法的・税務的な課題が発生する可能性があります。
これらの課題に迅速かつ適切に対処し、法的なリスクや税金のトラブルを未然に防ぎます。

持続可能性の確保

M&A後も事業の持続可能性を確保するためには
市場の変化や競合状況を見極め、柔軟かつ戦略的な運営が求められます。
組織の適応力を高め、変化に迅速に対応することが不可欠です。

経営陣との連携
M&A後は経営陣との連携が重要です。
共通のビジョンを確立し、意思疎通を図りながら組織全体が一丸となって成長するための戦略を進めます。

情報の透明性と誠実性
M&Aプロセス全体で情報の透明性と誠実性を重視します。
ステークホルダーや関係者に対して公正かつ正確な情報提供を行い
信頼関係を築くことが不可欠です。

M&Aは単なる取引だけでなく、戦略的な計画、持続可能な経営、組織文化の融合など
幅広い要素を考慮して実行する必要があります。