経営者は「いつ引退すべきか?」という問いに対して、様々な考え方があります。
「生涯現役」を掲げる人もいますが、現実には高齢化や後継者不在が深刻化しており
企業継承は避けて通れない課題となっています。
現在、日本の社長の平均年齢は63歳を超え、60代以上が60%以上、70代以上も3割以上を占める状況です。
また、後継者不足による倒産も過去最多を記録し、M&Aの市場が急拡大しています。
こうした中で、成功した継承事例として紹介されたのが、「ジャパネットたかた」の創業者・高田明氏です。
2015年、長男に社長職を譲った背景には、若手と長男が考案した「チャレンジデー」という販促企画の成功がありました。
この出来事により、自分の判断が常に正しいとは限らないと痛感し、円滑な世代交代を実現。その後、会社はさらに業績を伸ばしました。
もう一人の例として、ファインドスターグループの内藤氏が紹介されています。
売上が停滞する中、思い切って社長交代を決断した結果、5年で年商300億円を突破。本人は「経営者としての自信を失った」と語っていますが、会社の成長を第一に考えた決断でした。
ここで重要なのが、「企業家」「事業家」「経営者」それぞれの役割の違いです。
企業家(起業家):ゼロから新しい価値を創造し、アイデアを形にするのが得意。いわば「0 → 1」を生み出す人。
事業家:起業家の立ち上げたサービスを軌道に乗せ、収益化・仕組み化して広げていく「1 → 10」の担い手。
経営者:複数の事業を管理・展開しながら、組織を安定・成長させる「10 → 100」のリーダー。
つまり、会社の成長段階ごとに求められる人物像が異なります。
一人の人が全てを担うのは難しく、時には自分の役割を見極めてバトンを渡す判断も必要です。
経営が苦手と感じるなら、「プロ経営者」に任せるという選択肢もあります。
何よりも大切なのは、自分ではなく、会社の成長を最優先に考える姿勢です。